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富裕層が生前に相続対策をしておいた方がよい理由

2019.06.30 | 税金対策

相続対策には大きく遺産分割対策と相続税対策があり、相続税対策には税負担を軽減する対策と納税資金を準備する対策があります。どれも生前に考えておきたい重要な対策です。しかし、所有している資産額が大きい富裕層の場合、何も対策を行わないと相続人が負担する相続税が多額となり、後世に遺す財産が少なくなってしまうケースが考えられます。

そこで、今回は相続が発生した場合の相続税額に焦点を当ててみましょう。具体的に対策を行わない場合と行った場合とでは、遺された相続人が負担する相続税額に大きな違いがでます。この記事では対策を行うことで相続税額を半分に節税できた事例を紹介しながら、解説します。




対策を行わない場合の相続税額はいくらになる?

まずは例として、次のような家族構成・保有資産で、夫が亡くなった場合の相続税額を試算していきます。

試算の前提
家族構成 夫・妻・長男・長女
夫の保有財産 自宅(相続税評価額) ・建物:2,600万円
・土地:7,000万円(200平方メートル)
金融資産(現金・株式/投資信託等の有価証券) 5億5,000万円

自宅の土地については相続税における小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)が適用できるとしましょう。評価額を減額できるので、相続税評価額は7,000万円×(1-0.8)=1,400万円です。

課税価額の合計額は、
建物2,600万円+土地1,400万円+金融資産5億5,000円=5億9,000万円になります。

さらに、基礎控除額は法定相続人が3人のため
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円 です。


そのため、5億9,000万円-4,800万円となり、課税遺産総額は5億4,200万円となります。
この課税総額で相続税を計算すると、1億6,935万円となります。




生前に所有している資産の「組み替え」を行った場合の相続税額

上記の例では、資産全体に対する金融資産の割合が大きくなっていますが、相続財産として評価する場合、金融資産は実際の額面がそのままの評価額です。相続税は、相続財産全体の評価額が下がれば税負担額も減るので、金融資産の割合が大きい場合には資産の一部を相続税としての評価額が実際の価値よりも下がる資産に「組み替える」ことで、相続税の軽減が見込めます。
その代表的な資産が「不動産」です。そこで、次に先の前提で金融資産の一部を不動産に組み替えた場合の相続税額を試算していきます。

試算の前提
家族構成 夫・妻・長男・長女
夫の保有財産 自宅(相続税評価額) ・建物:2,600万円
・土地:7,000万円(200平方メートル)
金融資産(現金・株式/投資信託等の有価証券) 2億5,000万円(5億5,000万円のうち3億円を下記一棟賃貸マンションへ組み替え)
一棟賃貸マンション ・建物:1億5,000万円(150平方メートル)
・土地:1億5,000万円(延床面積350平方メートル)

収益不動産の前提
購入価格(諸費用込):土地1億5,000万円(150平方メートル) 建物1億5,000万円(延床面積350平方メートル)

収益不動産の相続税評価額算出の前提
土地:正面路線価40万円 借地権割合60% 奥行価格・不整形地等の補正率等の適用なし
建物:固定資産税評価額14万3,000円/平方メートル(東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表に基づく)
   借家権割合:30%
   賃貸割合:100%

収益不動産の相続税評価額
土地:40万円×150平方メートル=6,000万円(自用地の評価額) 

貸家建付地(収益物件として活用している土地)の評価額
→6,000万円×(1-60%×30%×100%)=4,920万円……A

建物:14万3,000円×350平方メートル=5,005万円……B

土地(A)+建物(B)の相続税評価額=9,925万円


あくまでも概算ですが、金融資産3億円を収益不動産に組み替えを行うことによって、相続税評価額は9,925万円となり、金融資産で持っている場合に比べ約33%圧縮することができることになります。さらに、収益不動産の土地は上述した「小規模宅地等の特例」の「貸付事業用宅地等」に該当するので、200平方メートルを限度として、評価額を50%減額することが可能です。ただし、今回の例のように自宅の「特定居住用宅地等」もある場合には、減額できる限度面積は合計で200平方メートルとなります。


特定居住用宅地等×200/330+貸付事業用宅地等≦200平方メートル


今回は、小規模宅地等の特例を自宅(200平方メートル)だけに適用した場合には、7,000万円×0.8=5,600万円の減額ができます。自宅(200平方メートル)と収益不動産(150平方メートル)を併用して適用した場合、上記式に当てはめると、限度面積は下記のとおりです。


貸付事業用宅地等:150平方メートル
特定居住用宅地等×200/330+150=200 特定居住用宅地等=50×330/200=82.5平方メートル


つまり、減額できる額は下記の計算によって算出されます。


貸付事業用宅地等:4,920万円×0.5=2,460万円
特定居住用宅地等:7,000万円×0.8×82.5/200=2,310万円
合計:4,770万円


そのため、今回の例では小規模宅地等の特例を適用する場合、「特定居住用宅地等」のみを選択して適用したほうが、相続財産としての評価額を圧縮することができるでしょう。この前提で計算をすると課税価額の合計額は3億8,925万円、基礎控除額4,800万円、課税遺産総額は3億4,125万円となります。この総額で計算すると、相続税の総額は8,843万6,000円となります。

組み替えをしない場合の相続税の総額は1億6,935万円だったので、8091万4,000円の相続税負担を軽減できるという試算になります。

※こちらのケーススタディはあくまで概算の金額となります。詳しくは税理士にご確認ください。




評価額の圧縮のほか、資産価値を守る財産を次世代に

このように金融資産を不動産に「組み替える」ことによって、相続財産としての評価額を圧縮し相続税の負担を減らすことも可能となります。ただし、節税だけを目的にして資産価値のない不動産を購入してしまうと、資産価値自体が下がってしまうことになり本末転倒になりかねません。立地・利回り・将来性などさまざまな側面から検討・考慮したうえで優良な物件に投資を行い、相続税の軽減はもちろんのこと、「資産価値を維持できる財産」を次世代に遺すことができる「不動産投資」を行うことが重要です。


 

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