2019.06.13 | 不動産投資の基礎知識
相続税とは、亡くなった人の財産に対してかかる税金です。一定金額以上の相続財産があるときにのみ課税されます。この相続税を低く抑える方法として、東京都内エリアの不動産投資がより有効といわれています。それはなぜなのでしょうか?
相続税は、財産総額から借金や葬式費用などを引き、さらに「基礎控除額」を引いた残りに、相続税率をかけて税額を算出します。基礎控除額は、下記の計算式で表せます。 ・基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数) 例えば、相続人が3人(被相続人の配偶者と子2人)の場合には、財産の総額から4,800万円を控除できます。つまり、このケースでは相続財産が基礎控除額の4,800万円より大きければ、相続税を支払うことが必要です。基礎控除額は、2014年までは5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)でしたが、2015年に法律が改正され控除額が大幅に縮小されました。先ほどの相続人が3人の例ならば、2014年以前の基礎控除額は8,000万円なので、40%も減額したことになります。
基礎控除額の大幅な縮小に伴い、従来ならば相続税を支払う必要がなかったのに、相続財産が基礎控除額の枠内に収まらず、相続税を支払わなければならないケースが増えてきました。そこで、相続税を少しでも安くする「相続税対策」、中でも不動産購入による相続税対策が注目されるようになりました。なぜ不動産を買えば、相続税が抑えられるのかというと、不動産の相続税評価額が、実勢価格(実際に取引される価格)よりも安くなるからです。 一般に土地は実勢価格の8割程度、建物は建築費用の6~7割程度になります。したがって財産を現金で持っているよりも、同じ金額の不動産を購入すれば、実勢価格と評価額との差分だけ、相続税を節税できるというわけです。
1. 土地の評価額
路線価方式と倍率方式
市街地にある土地の評価は、その土地に面した道路に設定されている路線価に、土地の面積をかけて算出する「路線価方式」によって行われます。この場合、評価額は実勢価格の80%程度です。路線価が設定されていない地域の土地では、主に「倍率方式」が使われます。その土地の固定資産税評価額に、国税局が地域ごとに定める倍率をかけて算出するもので、実勢価格の70%程度されるのが一般的です。
貸家建付地
被相続人が土地にアパートやマンションを建て、貸し付けている場合、この土地を「貸家建付地」といいます。貸家建付地の評価額は、次の計算式で表せます。 ・貸家建付地の評価額=更地の評価額×(1-借地権割合×借家権割合) 借地権割合は、地域により異なりますが、一般的に60~70%で借家権割合は通常30%です。したがって、更地の場合の評価額より、さらに20%程度減額になり、相続税対策としては大変有効です。
小規模宅地の特例
被相続人が居住していた土地を相続した場合、一定の要件を満たせば330平方メートルまで評価額が80%減額できます。また、被相続人自身が事業に利用していた宅地は、条件を満たせば400平方メートルまで80%減額が可能です。不動産貸し付けなどの事業で使っていた土地は、200平方メートルまで50%減額して評価されます。
2. 建物の評価額
建物については固定資産税評価額がそのまま使われますが、一般的には建築費の50~60%程度といわれています。また建物が賃貸物件であれば、そこからさらに控除されます。 ・貸家の評価額 = 建物の固定資産税評価額×(1-借家権割合(通常30%)×賃貸割合)
それでは、2人の相続人が3億円の財産を相続するというケースで、すべて現金で相続する場合と、1.5億円の土地と、建築価格1.5億円の賃貸マンションで相続する場合をざっくりとですが、比較してみます。
・現金の場合
評価額:3億円
・不動産の場合
土地の評価額:1.5億円×0.8(評価額)×0.8(貸家建付地)×0.5(小規模特例)=4,800万円
マンションの評価額:1.5億円×0.6(評価額)×0.7(借家権割合)=6,300万円
現金の場合、3億円から基礎控除額の4,200万円を差し引いた2億5,800万円に対して課税された相続税を支払わなければなりません。一方、不動産で相続した場合は土地と建物の評価額合計で1億1,100万円となり、1億1,100万円から基礎控除額を差し引いた6,900万円に対して課税された相続税を支払うことになります。
※こちらのケーススタディはあくまで概算の金額となります。購入する物件によって異なるため、詳しくは税理士にご確認ください。
簡単な例をあげて、不動産投資による相続税対策が、いかに有効であるかをみてきました。しかし、不動産投資は、あくまでも投資なので、リスクが皆無というわけではありません。あまりにも安易な気持ちで不動産投資をすると、失敗してしまい、節税できる以上に資産を減らしてしまう可能性もあります。税理士や節税対策に詳しい不動産会社などと相談しながら、慎重に計画を立て実行することをおすすめします。