2019.06.13 | 不動産投資の基礎知識
近年の低金利や年金不安を背景に、サラリーマンやOL、定年退職した人たちに人気の不動産投資。ただ、投資である以上、誰でも儲けられるわけではありません。不動産投資を考えている人たちに、ぜひ知っておいていただきたいのが「不動産投資のリスク」です。
不動産投資のリスクには、どのような種類があるのかをよく理解しましょう。
1.入居者に関するリスク
・空室リスク
入居者がいないと空室になり、家賃収入が入りません。空室の状態が長く続くと、ローンの返済が滞り、不動産を手放すことになりかねません。
・家賃の滞納
入居者が家賃を滞納し、想定していた家賃収入が得られないと資金計画が狂います。入居者とのトラブルに発展して、退去・空室のリスクが発生することもあるでしょう。
・既存の賃料が適切か
投資用不動産は利回りで販売価格が決まるため、割高な賃料設定になっていると購入価格も高くなります。販売業者または不動産仲介業者が高値で物件を売却するために割高な賃料で入居者をつけていないか、マーケットにあった賃料になっているか確認しましょう。
・近隣トラブル
入居者同士の口論、騒音などのトラブルも起きる可能性があります。当事者だけでなく他の入居者にも悪影響がおよぶ可能性があります。
2.建物に関するリスク
・経年劣化
特に中古不動産の場合、購入後すぐに修繕費が発生するリスクがあります。エレベーター、外壁、設備などの修繕に備え、費用を積み立てておくと安心です。
・災害
豪雨や地震などの災害が近年多発しています。災害に遭って建物が損害を受けてしまうと、家賃収入がなくなるだけでなく、建物の修繕、改修費用も発生します。
3.市場・立地に関するリスク
・金利の上昇
多くの場合、不動産購入は多額の融資を受けて実行されます。ローン金利が1%上昇するだけで、年間の支払額が数十万円多くなることも珍しくありません。
・人口の減少
日本国内において、将来的に人口が増加するとされている地域は、東京都だけだと予測されています。人口減少の影響で賃貸需要が少なくなるほど、不動産投資での資産運用は難しくなります。
・不動産価値の低下
人口減少・過疎化が進む地域や、開発が実施されていない地域などは、将来的に不動産価値が低下します。それに伴って家賃の下落や空室リスクも高くなります。
・近隣施設の移転・撤退
大学の近くにあるマンションやアパートは、学生の入居者をターゲットにしていますが、その大学が移転すると、入居者が見込めなくなります。同様に大型商業施設の撤退や病院の移転なども、不動産投資には大きなリスクになりかねません。
このように、不動産投資にはさまざまなリスクがあります。これらのリスクを未然に防ぐためには、それに応じた対策を取ることが重要です。リスク対策としては、次のようなものが考えられます。 ・物件の購入前に実際に現地を訪れ、立地や利便性などを確認する ・入居者の入居審査を厳格に行う ・ローンの繰り上げ返済を行う ・火災・地震保険に加入する ・物件を定期的にメンテナンスする
日本では少子高齢化が加速しています。このような時代に、新たな賃貸需要を見つけるには、オーナーの努力や先見の目、経営力が必要になるでしょう。日本全体でみると、未婚率の上昇や高齢者単身世帯の増加により世帯数が増加していることなどから、賃貸物件の需要は増えているといえます。しかし、日本全体の人口は、2008年をピークに減少し始めています。
そのなかでも、東京都の人口は、1996年以降19年以上増え続け、ほぼ右肩上がりになっています。今後20~30年にわたり、不動産を所有し、賃貸経営をされるのであれば、今後の人口動態を考えて、東京および都心部の良い立地の物件をおすすめします。不動産投資を成功させるためには、利回りだけでなく、利便性、人口の増加、地価の変動などを考慮して物件を選ぶ必要があります。
今回、紹介したような不動産投資のリスクと対策を知っておくことも大切です。情報収集を怠らず、ぜひ不動産を利用した資産運用にチャレンジしてみましょう。